Project M Annex

日本近代文学・比較文学・表象文化論の授業や研究について、学生や一般の方の質問を受けつけ、情報を発信します。皆様からの自由な投稿を歓迎いたします。(旧ブログからの移転に伴い、ブログ内へのリンクが無効になっている場合があります。)

論文の探し方(日本近代文学)

質問:「日本近代文学関係の研究論文は、どのように探したらよいのですか?」

1)「その作品の研究史を探す」

 人気作家の場合、一つの作品の研究論文が数十から数百にも上ることが少なくありません。『國文學 解釈と教材の研究』(學燈社)や、『国文学 解釈と鑑賞』(至文堂)などの特集号に、作家・作品・年次別の研究史が載ることがあります。また、作家論の論文集には、研究史が収録されることが一般的です。できれば複数の研究史を参照して、まず有力と思われる論文から読むのが先決です。

2)「有力な論文に引用されている論文を探す」

 「有力な論文」とは、研究史や多くの論文に引用されている論文、あるいは、端的に学界のビッグネームの論文でもよいのです。(ビッグネーム…この場合は取っ掛かりなので気にしないことにしましょう。)論文には末尾に注があり、そこに参考文献が書かれています。先行研究が引用する論文は、一応、重要な論文と考えてよいでしょう。

3)「国文学研究資料館のデータベースにアクセスする」

 人気作家の場合は、1・2の後に、あるいは1・2と並行して、国文学研究資料館のデータベースを利用しましょう。そうでない作家の場合は、論文数が少ないので、最初からでもよいです。作品名や著者名、キーワードで論文を検索できます。日本文学以外の全雑誌も検索する国会図書館のOPACに比べて、対象が絞られているので最も簡便です。ただし、データ更新までに時間がかかるので、直近の論文までとはいきません。

4)「『国文学年鑑』を利用する」

 『国文学年鑑』(至文堂)は、3のデータベースのほか、単行本や叢書類などの書籍の情報も収載されます。刊行時期はさらに遅くなりますが、前年度の補遺、雑誌以外の書籍も索引から検索できるので、最も網羅的です。ただし、3・4の場合、論文数が多い時には、何を取りあげるかを自分で考えなければなりません。卒業論文では、少なくとも自分が取りあげる対象についての論文くらいは、すべて目を通しておきたいものです。

 このほか、宮澤賢治有島武郎横光利一川端康成などの作家については、それぞれの作家個人研究会の機関誌などにおいて、毎年ごとの論文リストが掲載されています。