起承転結―再び(論文・レポートの書き方5)
学期末が近づき、レポートの執筆に頭を悩ませる季節となりました。簡単にレポートを書けるフレームワークを示してみましょう。文学・映画準拠でまとめてありますが、他の対象にも、もちろん拡張可能です。6枚のレポートを書くとしたら、次のように構想してみてはいかがでしょうか。
1)〈起〉なぜこの対象(作品)を選んだのか―動機(1枚)
対象との出会い、その対象を選んだ理由、その対象の第一印象などを書いてみましょう。これが論全体の出発点となります。印象については、特に魅力的と感じられる要素(言葉遣い、発想、題材など)や、筆者の体験との響き合い(共感、違和感、驚異)などに即して書くと良いでしょう。一番明確なのは、ここで対象の中に謎を発見することです。そして、それらのことが、論述の過程を通して、どのように変容または展開していくのか、を、以下の焦点とすれば良いのです。
2)〈承〉この対象(作品)はどのように理解できるのか―解釈(2枚)
これは、いわば構造を取り出す分析と言えます。対象の構成を鳥瞰的に概観し、逆に、細部の語学的解釈やショットの分析を行います。また、レトリック(修辞・発想・配置など)に留意したり、それぞれの分析単位ごとの意味を明確にしたりします。この分析を通して、〈起〉で述べた内容を展開したり、あるいは変容させて、膨らませていけば良いでしょう。その過程で、共感・違和感・驚異などの理由を解明したり、あるいは謎に接近してください。論述は過程です。論じてゆく過程を重んじてください。 3)〈転〉この対象(作品)をどう受容すべきか―論評(2枚)
学生がよく、「考察」と呼んでいる部分です。〈承〉を受けて、筆者が問題とすべきことに論点を絞り、想像力を駆使して展開してみてください。ここまでで理解できた対象の内容や形式を、相互に関連づけて、全体としての意味を把握しましょう。そして、それについて自分はどう思うのかを、正面からぶつけてみましょう。ここで、他の対象(作品)との関連や、他の作家や理論などとの関連をとらえても良いのです。批評や批判も、根拠をもって行ってください。「この対象をこのように受容することによって、何が変わるのか」、これです。
4)〈結〉論述によって何が得られたか―結論(1枚)
さて、あの謎は解けたのでしょうか。あなたの第一印象は、論述によってどう変化し、あるいは展開できたのでしょうか。結論は、そのことを端的に述べてください。あまり結論を長々と展開するのは考え物です。また、未解決・未確定の問題が何であり、今後、どのような研究が残されているのか、何がやりたいのか、その展望も書くとよいでしょう。
そして、できればアクロバットな、読む者を驚嘆させるような、仕掛けを考えてみてください。なお、最初の「レポートの書き方」の記事を、ぜひご参照ください。
1)〈起〉なぜこの対象(作品)を選んだのか―動機(1枚)
対象との出会い、その対象を選んだ理由、その対象の第一印象などを書いてみましょう。これが論全体の出発点となります。印象については、特に魅力的と感じられる要素(言葉遣い、発想、題材など)や、筆者の体験との響き合い(共感、違和感、驚異)などに即して書くと良いでしょう。一番明確なのは、ここで対象の中に謎を発見することです。そして、それらのことが、論述の過程を通して、どのように変容または展開していくのか、を、以下の焦点とすれば良いのです。
2)〈承〉この対象(作品)はどのように理解できるのか―解釈(2枚)
これは、いわば構造を取り出す分析と言えます。対象の構成を鳥瞰的に概観し、逆に、細部の語学的解釈やショットの分析を行います。また、レトリック(修辞・発想・配置など)に留意したり、それぞれの分析単位ごとの意味を明確にしたりします。この分析を通して、〈起〉で述べた内容を展開したり、あるいは変容させて、膨らませていけば良いでしょう。その過程で、共感・違和感・驚異などの理由を解明したり、あるいは謎に接近してください。論述は過程です。論じてゆく過程を重んじてください。 3)〈転〉この対象(作品)をどう受容すべきか―論評(2枚)
学生がよく、「考察」と呼んでいる部分です。〈承〉を受けて、筆者が問題とすべきことに論点を絞り、想像力を駆使して展開してみてください。ここまでで理解できた対象の内容や形式を、相互に関連づけて、全体としての意味を把握しましょう。そして、それについて自分はどう思うのかを、正面からぶつけてみましょう。ここで、他の対象(作品)との関連や、他の作家や理論などとの関連をとらえても良いのです。批評や批判も、根拠をもって行ってください。「この対象をこのように受容することによって、何が変わるのか」、これです。
4)〈結〉論述によって何が得られたか―結論(1枚)
さて、あの謎は解けたのでしょうか。あなたの第一印象は、論述によってどう変化し、あるいは展開できたのでしょうか。結論は、そのことを端的に述べてください。あまり結論を長々と展開するのは考え物です。また、未解決・未確定の問題が何であり、今後、どのような研究が残されているのか、何がやりたいのか、その展望も書くとよいでしょう。
そして、できればアクロバットな、読む者を驚嘆させるような、仕掛けを考えてみてください。なお、最初の「レポートの書き方」の記事を、ぜひご参照ください。