Project M Annex

日本近代文学・比較文学・表象文化論の授業や研究について、学生や一般の方の質問を受けつけ、情報を発信します。皆様からの自由な投稿を歓迎いたします。(旧ブログからの移転に伴い、ブログ内へのリンクが無効になっている場合があります。)

死んだサイト(ネット・エチケット3)

 休眠状態の掲示板。捨てられたホームページ。主宰者の亡くなったブログ。そのようなサイトも、基本的にはサーバーの管理者が手を加えない限り、半永久的に残ります。そこに他人の情報が掲載されていれば、その情報も、半永久的に人目にさらされ続けます。そしてその情報が、第三者によってどのように利用されるかは、本人や提供者の与り知らぬ事柄です。

 死んだサイトばかりではありません。生きているブログでも、主宰者が開設日まで遡って、初期の記事を編集することは希です。そのような初期の記事に埋もれた個人情報は、あたかも死んだサイトと同じように、現在の主宰者の意思にかかわらず、検索エンジンによって洗い出されます。

 2000年前後までの、まだブログ文化が未熟だったころのサイトに、比較的多くの、死んだサイトが散見されます。当の主宰者に訊ねたことがあります。なぜ更新または消去しないのかと。「IDもパスワードも忘れてしまったのです」。そんな場合は管理会社に連絡しなさい。特にその頃の主宰者は情報保護の意識が乏しく、実名記載が横行していました。

 自分の行動をブログに記すのは自由です。しかし、いつまでも残すことは考えものです。人の立場や状況は変わります。後で自分の身を縛ることになりかねません。ましてや、公開されていない他人の行動や言動を記すのは慎むべきです。実名はもちろんのこと、たとえニックネームでもいけません。どんなニックネームも、Web上のコンテクストの中で特定可能となります。

 「友達が」「仲間と」、これで十分ではないでしょうか。もしどうしても明記したければ、パスワードやID管理により、閲覧制限を設定すればよいのです。現在の多くの掲示板やブログにはその機能が提供されています。特に、主宰者は、個人画像のアップロードは極力、控えるべきです。また、閲覧者は、許可なく、特定可能な自分の個人情報・画像が公開されていたら、躊躇なく抗議してやめさせるべきです。

 いつ、そのサイトが「死ぬ」のか、あらかじめ分かるものではありません。私たちは誰しも、物を忘れ、そしていつかは死ぬのです。サイトの主宰者は、ネット・エチケットについて、もっと肝に銘じるべきだろうと思います。