Project M Annex

日本近代文学・比較文学・表象文化論の授業や研究について、学生や一般の方の質問を受けつけ、情報を発信します。皆様からの自由な投稿を歓迎いたします。(旧ブログからの移転に伴い、ブログ内へのリンクが無効になっている場合があります。)

大学高等教育センターとは?

 このセンターが一番混同されやすいのは、教員育成や、教育学部の施設と間違われるケースです。学内的にもまだ認知度が低いのは、後発の発足であり、しかもこれを全学体制の中にきちんと位置づけようとするトップの意識が乏しい場合です。全国の、教育改革に情熱を燃やす大学には、ほとんどすべて、高等教育センター(名称は様々です)があります。私の所属するYU高等教育研究企画センターもその一つです。

 この10年で、大学とそれをめぐる情勢は一変しました。教育の全般をほぼ全面的に教員個々に委ねていた時代は過ぎ去り、教育の体制の充実と更新を、分析と研究に基づき、しかも必要に応じて迅速に推進することが要求されています。この課題に応えるためには、従来のトップ―ボトム往還運動型の意思決定(全学―教授会)では不十分です。なぜならばそれは、自己保存を目指す現状維持の追認でしかありません。センターは、そのような慣習を打破しようとする組織です。

 授業改善、授業の評価、成績管理、修学支援、教育工学、地域連携、大学間連携、高大連携、国際連携、eラーニング、修学支援へのICT導入、教員啓発と、やるべきことは山ほどあります。この7月、東北地方の主な国立大学と幾つかの公私立大学のセンターでは、連携と情報交換、問題共有を目指して、岩手大学総合教育センターが呼び掛け人となり、盛岡市で初の交流会を行いました。岩手とYUとは、以前から友好関係にあり、今回はYUのFD実績を講演し、研究会ではeラーニングとICT修学支援の経過報告を交換しました。悩みを共有することは、確かに「癒し」の一助にはなります。

 けれども、悩んでばかりはいません。このセンターは、弛まずに打ち寄せ続ける力強い波です。昨日は、第8回YU教養教育ワークショップを開催しました。教養教育のみならず、学士課程に関する新進の話題が検討されました。「学生参画型の教育改革」の講演会、eラーニング・学生参加FD・高大連携の各ラウンドテーブルが開かれ、テーマがテーマだけに、学生の参加も見られました。私はeラーニングの分科会コーディネーターを務めました。

 来週には、教員向けFD合宿セミナーで、学内外の教員が2班に分かれ、相次いで蔵王山寮に籠もります。改革の波が、硬い岩盤を少しずつ削り、教育の新たな地層を切り開くことは必至です。