Project M Annex

日本近代文学・比較文学・表象文化論の授業や研究について、学生や一般の方の質問を受けつけ、情報を発信します。皆様からの自由な投稿を歓迎いたします。(旧ブログからの移転に伴い、ブログ内へのリンクが無効になっている場合があります。)

ソリューション

 eラーニングの仕事に携わらなかったら、こんな言葉の用法を知ることもなかったでしょう。つまり、IT技術を利用した問題の解決、というよりは、IT技術上の問題の解決です。IT企業は客に個々のニーズに応じたソリューションを提供する、というように使います。そういうわけで、今や、だいたいの要望に応えてくれる技術のラインナップは揃っています。

 私が携わっているeラーニングの手法は、大きく分けて2種類あります。一つは、通常のスライド授業をスクリーンごと撮影して、それをエンコード(配信可能なデータ形式に変換)し、遠隔キャンパスに同時配信する方法です。リアルタイム・ライヴストリーミング方式と呼んでいます。

 もう一つは、講師のスピーチの動画と、スライドとを画面上で同期化して、コンテンツとして配信する方法です。この種のコンテンツをリッチコンテンツと呼ぶこともあり、同期化の編集を必要とするので、ライヴストリーミング方式ではなく、VOD(ヴィデオ・オンデマンド)方式と呼ばれます。

 どちらもインターネットで配信され、多くの場合はブラウザや動画プレーヤで視聴します。大学・学校で受講する場合はオンキャンパス方式、学生各自が任意の場所で受講する場合は在宅受講方式と呼ばれます。一般的には、コンテンツに直接アクセスするのではなく、動画へのリンクや、テキストその他のダウンロード用の教材や、掲示板・質問回答・小テスト・リポート機能などを備えた、LMS(Learning Management System=授業支援システム)とか、CMS(Course Management System)と呼ばれるプラットフォームを介します。

 これらの各段階において、撮影・編集・蓄積・配信のソリューションが必要になってきます。eラーニングは、実施している機関とそうでない機関との差が激しく、先発の大学では全く珍しいことではないのに、後発では信じられない夢の世界とも思われています。物理的・政策的に、要求や危機意識があるかないかの違いです。

 しかし……この記事の趣旨は次のようなことです。つまり、お金さえ積めば、技術的困難の大半は解決されるのです。真にソリューションが求められるのは、管理者・教職員の側の、人間であり、組織です。全く以て、この部分には、技術の進歩など、関係がないみたいです。