Project M Annex

日本近代文学・比較文学・表象文化論の授業や研究について、学生や一般の方の質問を受けつけ、情報を発信します。皆様からの自由な投稿を歓迎いたします。(旧ブログからの移転に伴い、ブログ内へのリンクが無効になっている場合があります。)

パセリ、セージ、ローズマリー、&タイム

 私を吹奏楽に誘った女の子は、ビートルズファンになって私にビートルズを教える前は、サイモンとガーファンクルのファンで、それで私も最初にS&Gのファンになりました。まったく、かえすがえすも、主体性ゼロの中学時代です。

 私は外国語オンチで、国際交流のため英語ができなくて現在でも四苦八苦していますが(皆さん、英語は学生時代に、ちゃんと勉強しておいたほうが身のためです!)、幾つかの外国語の「美しさ」にはあこがれの気持ちを持っています。ただ、日本語だってそうですけど、どんな外国語でも、常に美しいわけではなくて、美しく話されるときに美しいのです。ビートルズもそうですが(「Yesterday」や「Here Comes Sun」や「And I Love Her」や「Across The Universe」や)、S&Gの発話の美しさは、私の記憶の奥底で、そのあこがれを支えています。

 「Sound Of Silence」や、「Scarborough Fair」の冒頭のフレーズなど、Fighting Languageとも言われる活発な英語でも、こんな内にくぐもった、ささやくような、深い響きになるのか、という魅力がこもっていました。例によって、確か、全音楽譜から出ていたS&G曲集を買ってきて、 「Sound Of Silence」のやや単純な、「Scarborough Fair」の複雑なアルペッジョをギターで練習しました。これらの静かな曲は、クラシック・ギターで弾いても効果的だったのです。

 「水曜の朝、午前3時」、「明日に架ける橋」、「ボクサー」……。まったく、年代が分かりますね。サイモンとガーファンクルのデュエットは、言葉の意味は分からないけど、その響きは、至上の美しさを帯びていました。ものごころついたころに体験した、シニフィアンの原初的な感覚です。私は部屋で、確か、低音部をカセットに録音して、それを再生しながら高音部を歌い、「一人デュエット」のように歌っていたように思います。 Hello darkness my old friend,
I've come to talk with you again.……

Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary, and thyme,
remember me to one who lives there.
She once was a true love of mine.……

 うろ覚えで書いたので、きっと間違っていると思います。「Scarborough Fair」の途中に出てくるこの単語群は、ハーブの名前です。「rosemary and」のところで、メロディが屈折するのが、忘れられません。ハーブはヨーロッパで自生していたもの。これらの多くは、南欧原産です。それに対して、スパイスは、旧植民地など南洋産のものを指すのだそうです。壜に入って売られていますね。昔、料理が好きだったころ、パスタを作るときに使ったな。