Project M Annex

日本近代文学・比較文学・表象文化論の授業や研究について、学生や一般の方の質問を受けつけ、情報を発信します。皆様からの自由な投稿を歓迎いたします。(旧ブログからの移転に伴い、ブログ内へのリンクが無効になっている場合があります。)

専修大学村上春樹研究会 第5回研究発表会のご案内

特集『女のいない男たち』
■日時 2014年7月6日(日)13時30分~17時30分
■会場 専修大学サテライトキャンパス スタジオA
小田急向ヶ丘遊園駅北口下車。新宿より急行で約20分)

□パネル発表 短編集『女のいない男たち』を読む

「私」を生成する―村上春樹「シェラザード」を中心に―
堀口 真利子(名古屋大学大学院 博士研究員)

性愛一致の呪縛―村上春樹「イエスタデイ」論―
徳江  剛(専修大学大学院 博士課程)

複数形の男たち―村上春樹「ドライブ・マイ・カー」論―
平野  葵(北海道大学大学院 博士課程)

□講演

村上春樹1Q84』は、なぜ「見かけにだまされないように」で始まるのか?
跡上 史郎(熊本大学 准教授)

CiNiiの検索結果を簡単にExcelに移す方法

 論文の探し方(日本近代文学)という記事を2006年に公開しましたが、その後のWeb環境の進展により、現在ではCiNiiを利用するのが一般的となっています。もちろん、そこで紹介した国文学研究資料館国会図書館の検索も、引き続き拡充されていますから、併用するとよいでしょう。中でもCiNiiは、学術論文一般の検索としては充実しており、またCiNii PDFや機関リポジトリなどのWebコンテンツにもアクセスできるのが便利です。

 ところで、CiNiiの検索結果は時として多数に及ぶことがあり、その結果を保存して後で確認したり、簡略な形でダウンロード・印刷して携帯し、図書館での検索に利用したりしたい場合があります。これについて、特別なソフトを使わずに、CiNiiの検索結果を簡単にExcelに移す方法をTwitterで公開したところ、それなりの反響がありました。Twitterの記事はいずれ埋もれてしまいますので、こちらで改めて記述しておくことにします。

 とても簡単ですよ! 驚くほどです。慣れるとあっという間にできます。
 また、WindowsでもMacでもできます。

 検証は、Windows 8.1およびMax OS XGoogle ChromeExcel 2013、Excel for Mac 2011を用いました。他のOSやブラウザを利用した場合については検証していません。
 また、操作にはショートカットキーを使うと便利です。Windows/Macの順に、「すべて選択」(Ctrl+A/command+A)、「コピー」(Ctrl+C/command+C)、「ペースト」(Ctrl+V/command+V)などがあります。

【手順】

1)CiNiiで検索する。

2)(オプション)必要であれば、検索結果の数に合わせて「20件ずつ表示」をクリックし、プルダウンメニューから適切な表示数(20~200件)を選択する。「出版年:新しい順」をクリックし、プルダウンメニューから適切なオプションを選択する。「表示」ボタンをクリックする。

(注)表示を多めに設定して検索結果をすべて表示する。200件を超える場合は、検索結果の各ページを順次表示させ、それらに対して同じ操作を繰り返す。

3)検索結果が表示されたら、「新しいウィンドウで開く」をクリックして、プルダウンメニューから、「TSVで表示」を選択する。

4)「すべて選択」のチェックボックスをクリックしてチェックを入れ、「実行」ボタンをクリックする。

5)新たなタブ(ウィンドウ)でデータが開くので、それを「すべて選択」し、コピーする。

6)メモ帳(Macではテキストエディット)を開いてペーストし、それをもう一度「すべて選択」し、コピーする。

7)Excelの空白ページを開いて、ペーストする。

8)Excelファイル(ブック)に名前を付けて保存する。

9)(オプション)必要ならばExcelの行・列・セル属性・罫線機能などを用い、不要な列を削除し、整形(折り返して表示、列の幅の自動調整、表罫線の設定その他)し、ヘッダー・フッター等を入れて美麗化できる。

10)以上の手順の簡略版(Twitterより):


11)以上の手順の結果例(Twitterより):




第2回翻訳ワークショップ・シンポジウムのご案内

■日時 2014年3月10日(月)
   ・午前の部10時30分-12時30分
   ・午後の部14時-16時30分
■会場 北海道大学人文・社会科学総合教育研究棟 文系6番教室
■主催 翻訳ワークショップ・シンポジウム企画委員会
■後援 北海道大学大学院文学研究科


リンク:北海道大学大学院文学研究科・文学部インフォメーション・イベント

【午前の部】 10時30分-12時30分

Workshop:Learning Translation
北大卒の翻訳者が北大生を対象に実際に翻訳の授業を行います。
受講希望者は企画者に申し出てください。参観は自由です。

講師 藤井光(同志社大学文学部英文科准教授)
《講師紹介》北大文学部・文学研究科(修士・博士)卒業後、学術振興会研究員として柴田元幸のもとで東京大学現代文芸論研究室の草創期に携わる。柴田がサルバドール・プランセシア著『紙の民』(白水社、2011年)の帯文において、「これだけ奇妙奇天烈で、これだけ悲しく、これだけ笑える小説が他にあったら教えてほしい。そういう奇妙奇天烈で悲しく笑える、だが訳するには種々の困難が伴うこの小説をあっさり訳してしまう訳者が他にいたら教えてほしい」と絶賛した新進気鋭の研究者・翻訳者。テア・オブレヒト著『タイガーズ・ワイフ』(新潮社)で、2013年本屋大賞(翻訳小説部門)受賞。

【午後の部】 14時-16時30分

Symposium: Teaching Translation
 北大文学部・大学院で翻訳論を担当する教員が加わり、文芸翻訳研究・教育の面白さや難しさ、課題とその可能性について発表・討論を行います。学生も教員も参加自由です。

司会:藤田健
翻訳にとって成功の条件とは何か
藤井光(同志社大学文学部英文科准教授)

タイランド」と翻訳の村上春樹―日本語の自由間接/直接表現―
中村三春(北海道大学院文学研究科映像・表現文化論講座教授)

北大文芸翻訳教育の現場から―Not Looking Up, But Looking Level
晒科洋輔(北海道大学大学院文学研究科西洋文学講座修士課程2年)

企画者:瀬名波栄潤(メールアドレス:juneアットマークlet.hokudai.ac.jp)



(シンポジウム報告要旨は「続きを読む」をクリック) 続きを読む

第3回《Session The Pure Dazai》開催のご案内

■日時 2013年11月30日(土)13時~17時30分
■会場 北海道大学人文社会科学総合教育研究棟 W409会議室

(クラーク像からメインストリートを北へ200m右側の灰色の建物)
※一般来聴歓迎

Session The Pure DAZAI 第3回
司会・北海道大学大学院文学研究科 博士後期課程
山路 敦史・平野  葵

□特集 DAZAI Osamu 1940

「古典風」のアヴァンギャルド性―旧稿「貴族風」を補助線として―
北海道大学大学院博士後期課程
唐   雪


太宰治「女の決闘」論―「女の決闘」の反権威性―
國學院大學文学部非常勤講師
吉岡 真緒


〈鳥の声〉と銀貨
福岡女学院大学教授
大國 眞希


『新ハムレット』の「愛は言葉だ」―パラドクシカル・デカダンス2―
北海道大学大学院教授
中村 三春


(発表要旨は「続きを読む」をクリック) 続きを読む

ムラカミアン宣言

 別にことあたらしく言う必要はないのかも知れませんが、やはり、いろいろな意味で、敬愛できる作家というのは、そうざらにあるものではありません。それも、同じ時間を生きている、存命中の作家ということになれば、なおさらのことです。

 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年を、第1刷で買わなかったのも、買ってから(第1刷の10日後の第5刷!)一月も読まなかったのも、忙しかったせいもありますが、要するに私は「ハルキスト」と俗に呼ばれるようなマニアではないからです。どちらかというと、ほとんど騒がれていず、多数の若手作家の中の一人だった時代に、(あの小説、読んだことある?)と、仲間うちで純粋に感想を交わしていたのがなつかしいのです。もう、そういう時代が来ないというのは、とても寂しい気がします。でもそれはしようがありませんね。

 この小説は、とにかく五月蠅いメディア(ネットメディアを含む)、派手な販売攻勢、そして出た途端の毀誉褒貶、と、話題性には事欠かなかったのですが、内容は、しっとりした、静かな、素敵な作品だと思います。たぶんそれなりの年齢の人なら、多かれ少なかれ(強かれ弱かれ、と言うべきでしょうか。量の問題ではないので)、似たような思いを抱いたことのある事柄が、例によって、誰にも真似のできない繊細な文体と筆致で書かれているのです。もちろん、絶対的に最高の地位に置くべき傑作だなどと言うのではありません。しかしそもそも、現代においてそのようなものがあるでしょうか。またそれ以前に、そんなものが必要なのでしょうか。

 思い出して、送ってもらった『朝日新聞』の記事(2012.9.28付)を机の中から探し出して読み直しました。そこで彼は、文化交流は国境を越えて魂が往来する道筋であると言っています。また、安酒は人を悪酔いさせて前後不覚にさせる、安酒を提供して騒ぎを煽るような政治家らには注意すべきであると書いています。このように、落ち着いた、白面(しらふ)の、整った言葉で提言をしてくれる人を、私たちは他に知っているでしょうか。

 この文章は、イェルサレム賞受賞スピーチの「卵と壁」の話や、バルセローナ賞の際の「無常と効率」の説と同じように、当該の事件や事態を超えて、あらゆる場合にもあてはまる普遍性を帯びているように感じられます。むろんそれは哲学的な普遍性ではありません。むしろ文学的な普遍性、つまり、比喩や喩えが柔軟な意味の拡張性を備えていて、幅広く事象をとらえる際の普遍性にほかなりません。いや、一言でいえば、要するに彼は、まっとうな小説家なのだ、というだけのことです。

 私は好きな作家、好きな作品がたくさんありますし、一つのテクストに対して正しい解釈は複数あると信じています。また、既にいろいろに宣言をしていますから、そのような資格で、ですが、もう一つの宣言をしておくことにします。そして、再び、静かに、しみじみと、(この小説、もう読んだ?)と、語り合うことにしましょう。残念ながら、いつでも安い酒しか飲んでいないのですけど。……

第1回 現代日本〈映画―文学〉相関研究会のご案内

■日時 2013年6月22日(土)13時~17時30分
■会場 北海道大学東京オフィス
※参加は事前登録が必要・人数制限あり
(6月13日(木)まで申込みのこと)

□研究発表

1 コメディエンヌ・高峰秀子と『グッドバイ』
二松學舍大學非常勤講師 志村三代子
2 映画『他人の顔』関連の未公開資料について
信州大学助教 友田 義行

□ラウンドテーブル

1 豊田四郎監督の『或る女
北海道大学大学院教授 中村 三春
2 女優と監督―50年代女性映画の構造―
立命館大学教授 中川 成美
3 〈翻案〉の方法―小説から映画へ―
早稲田大学助手 宮本 明子
4 変転する『本陣殺人事件』
甲南女子大学講師 横濱 雄二
5 「脚色」の方法論―宮崎駿の評価基準―
専修大学准教授 米村みゆき

科学研究費  基盤研究(B) 課題番号25284034
現代日本映画と日本文学との相関研究―戦後から1970年代までを中心に―」
(研究代表者 中村三春)


(発表要旨は「続きを読む」をクリック)

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専修大学村上春樹研究会 第4回研究発表会のご案内

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年〈1〉
■日時 2013年6月23日(日)13時30分~17時00分
■会場 専修大学サテライトキャンパス スタジオA
小田急向ヶ丘遊園駅北口下車。新宿より急行で約20分)
※お問い合わせは専修大学サテライトキャンパスまで(人数制限あり)

□研究発表

迷走する〈娘〉たち
 ―『1Q84』から『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』へ―
平野葵(北海道大学大学院文学研究科博士後期課程)

□読書会

ナビゲーター徳江剛(専修大学大学院文学研究科博士後期課程)

□特別研究発表

Monsterと「獣」のあいだ
 ―解釈としての英訳による村上春樹短編論―
中村三春(北海道大学大学院文学研究科教授)