Project M Annex

日本近代文学・比較文学・表象文化論の授業や研究について、学生や一般の方の質問を受けつけ、情報を発信します。皆様からの自由な投稿を歓迎いたします。(旧ブログからの移転に伴い、ブログ内へのリンクが無効になっている場合があります。)

発表要旨の書き方

 研究発表の内容を考えるのもさることながら、発表内容を予告する発表要旨を書くのも、なかなか大変な仕事です。どのようなポイントがあるのでしょうか?

1)発表内容の分かるような題目をつける
 これはとても大事なことで、一般に何々論とか、何々の考察、などというタイトルでは、具体的ではありません。作家・作品名だけでなく、重点を置く内容を示す言葉を、一つでよいからタイトルに入れておくと分かりやすくなります。なお、題目全体を「 」で囲む必要はありません。また、副題をつける際には、前だけでなく、前後に「―」を入れましょう。時々、「~」を使う人がいますが、これは一種のデザインであり、曲がらないのが基本です。

2)発表要旨も起承転結で
 結局、発表要旨も短い論文のようなところがあります。「起」:何を、どのように、どうして論じるのか。対象や動機。「承」:より具体的に、それを論じるとどんな結果が得られるのか。「転」:そのテーマには、他にどのような局面があるのか。または、関連する事象は何か。「結」:最終的には、何がそこから生まれるのか。
 しかし、要旨はあくまでも要旨なので、何も百パーセント展開する必要はありません。「あとは当日の発表で」というような書き方をしてよいのです。ただ、発表要旨の審査で、発表の採否が決まる場合には、できるだけ詳細に書くとよいでしょう。

3)やや、大風呂敷(包括的)に
 発表原稿や刊行された論文を要約するのと違い、発表要旨は、まだ完成していない研究内容を短くまとめなければなりません。そこが発表要旨の難しいところです。しかし、せっかく発表をするのです。小さくまとめてどうするのですか? 発表要旨は、やや大所高所に立ち、一般論的な視点も織り交ぜながら、発表の理想を目指して堂々と書きましょう。結果的に、発表要旨よりも焦点が絞られ、内容が限定されることになったとしても、ある程度はやむを得ないのです。(ある程度は、です。あまり甚だしいと、聴衆の不評を買います。当然ながら。)
 研究発表は、他にかけがえのない自己表現の場です。思いっきり、思う存分、言いたいことを言おうではありませんか。