Project M Annex

日本近代文学・比較文学・表象文化論の授業や研究について、学生や一般の方の質問を受けつけ、情報を発信します。皆様からの自由な投稿を歓迎いたします。(旧ブログからの移転に伴い、ブログ内へのリンクが無効になっている場合があります。)

様式史研究会開催のお知らせ

 恒例の様式史研究会(第48回研究発表会)を下記の予定で開催します。
 どなたでも参加できます。参加無料です。
 お誘い合わせの上、ふるってご参加ください。
 お問い合わせはここにコメントを書き込むか、またはProject Mのメールアドレスまでどうぞ。

日時 2006年9月30日(土)14:00~17:00
会場 山形大学人文学部第1会議室(4階)
        アクセスマップ1
        アクセスマップ2

【発表内容】

1)<学校>のコスモロジー
  ―宮澤賢治銀河鉄道の夜』論―
山形大学大学院 高橋くるみ

2)〈記憶‐忘却〉のディスクール
  ―川端康成「弓浦市」を中心に―
東北大学大学院 仁平政人

3)初期押井テクストにおけるセクシュアリティ 
  ―『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を中心として―
山形大学大学院(山形東高教諭) 石田 修

*発表要旨は「続きを読む」をクリックするとごらんになれます。 1)発表要旨(高橋)
 宮澤賢治の童話において、「学校」は幻想を生み出す源泉である。これまで、賢治テクストと「学校」との関係は、賢治の伝記的事実や同時代思潮の側面からのみ論じられることが多かったが、テクスト自体の問題として捉えると、物語構造の基底となる重要な要素になっていると考えられれる。本発表では、「学校」の空間性という観点から『銀河鉄道の夜』を分析することで、賢治テクストの様式を明らかにすることを試みたい。


2)発表要旨(仁平)
 戦後の川端康成の諸テクストで繰り返し扱われるモチーフとして、「記憶」(ないし「忘却」)が挙げられる。本発表では、戦後の代表的な短編として知られる「弓浦市」の分析を中心として、川端テクストに於ける〈記憶‐忘却〉をめぐる問題系について検討することを通じ、従来「日本回帰」や「魔界」などといったマジック・ワードに回収されがちであった戦後期川端文芸が持つ方法的性格の一面と、その位相を捉え直すことを試みたい。


3)発表要旨(石田)
 いまでこそ一流文化人の仲間入りをした感もある押井守であるが、その評価が高まったのは、ここ十年来のことと言ってよい。1995年の『攻殻機動隊  GHOST IN THE SHELL』がアメリカでヒットしたこともあり、「あのウォシャウスキー兄弟に影響を与えた」という文脈で逆輸入的に評価されるようになったのである。だが押井の初期テクストにおいては、その時代性や前衛性ゆえに、まとまった論考が極めて少ない現状にある。今回の発表では初期の代表作『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を中心に、従来の押井テクストにおいてはあまり語られてこなかったセクシュアリティーの側面から論じてみたい。