Project M Annex

日本近代文学・比較文学・表象文化論の授業や研究について、学生や一般の方の質問を受けつけ、情報を発信します。皆様からの自由な投稿を歓迎いたします。(旧ブログからの移転に伴い、ブログ内へのリンクが無効になっている場合があります。)

昔、書店というものがあった

もちろん、今でもあります。しかし、街中の小さな個人経営の書店は、めっきり数が少なくなりました。 高校時代、授業をサボっては、通りの小さな書店で本を見ていたものです。覚えているのは、一度など、ぶらっと入って文庫本のシャルル・ペロー童話集を手に…

「初めて」の羨ましさ

「私、あんまり読んだことないんですよ。『ノルウェイの森』と、あと、あの……TVから女の人が見えている……ちょっと変わった書き方の」 「『TVピープル』? あ、『アフターダーク』か。確かに変わってるよね。でも、『ノルウェイの森』を読んだのなら、何でも…

子を持って知る子の恩、または、達成感について

某年某月某日、某大学(教養教育)での講義中:「文学なんてものは、娯楽ですから、人間の生命にとって必要不可欠なものでは、ありませんね。しかし、必要不可欠でないものこそ、人間の人間たる所以に繋がっていることは間違いがありません。 文学研究も、正…

横光利一文学会第11回研究集会案内

◎日本近代文学会北海道支部例会(合同) ■日時 2010年8月28日(土) 13:30開会 ■会場 北海道大学W講義棟 W409会議室 特集 : モダニズムのボーダー ○開会の辞 日本近代文学会北海道支部長 片山晴夫 ○研究発表 総合司会 梶谷 崇 「不行儀」の行方―横光テクス…

2010年度日本比較文学会北海道大会のお知らせ

■日時 2010年7月24日(土) 13:00開会 ■会場 北海道大学W講義棟 W409会議室 ○開会の辞 北海道支部 支部長 飛ヶ谷美穂子 ○研究発表 総合司会 梶谷 崇 森茉莉作品におけるモーパッサン受容―「薔薇くひ姫」を中心に― 北海道大学大学院博士課程 上戸理恵 1950年…

有島武郎研究会 第47回全国大会案内

■日時 2010年6月12日(土) 11:00開会 ■会場 明治大学駿河台キャンパス リバティタワー15階 1156教室 ・午前の部 11:00~11:50 ○ 開会の辞 明治大学文学部長 林 義勝 ○ 研究発表 芸術家の位置 ―有島武郎のメディア戦略― 木村 政樹 司会 渡邉千恵子 《…

2009年度 日本比較文学会北海道研究会のお知らせ

■日時 2009年12月5日(土) 14:00開会 ■会場 北海道大学W講義棟 W205教室 ○14:00 開会の辞 北海道支部 支部長 飛ヶ谷美穂子 ○研究発表1 14:00~15:00 映画『一瞬の夢』をめぐって 北海道大学大学院博士課程 劉 洋 ○研究発表2 15:00~16:00 柳宗悦―白…

第3回日本比較文学会北海道大会のお知らせ

■日時 2009年8月1日(土) 13:00開会 ■会場 北海道大学W講義棟 W408号室 総合司会 梶谷 崇 ○ 開会の辞 13:00 北海道支部 支部長 飛ヶ谷 美穂子 ○ 研究発表1 13:10~13:50 〈指紋〉が語るもの ―金関丈夫「指紋」と日本統治期台湾における指紋言説― 北海…

2009年度 日本近代文学会 北海道・東北地区合同研究集会のお知らせ

☆研究発表の部☆ ■日時 2009年8月8日(土) 13:00~17:30 ■会場 北海道大学文系六番教室 ○ 研究発表 13:00~ 探偵小説と映画 北海道大学大学院 成田大典 森茉莉「随筆のやうな小説」再考―『薔薇くひ姫』を中心に 北海道大学大学院 上戸理恵 村上春樹『アフタ…

有島武郎研究会第45回大会のお知らせ

■日時 2009年6月6日(土) 10:00開会 ■会場 北海道大学W講義棟 W409会議室 《日本近代文学会北海道支部共催》 ・午前の部 10:00~12:00 ○ 開会の辞 北海道教育大学 片山 晴夫 ○ 研究発表 『或る女』と『アンナ・カレーニナ』 ―19世紀日露社会における女…

質問の仕方、答え方

発表の構築にも一定のやり方があるのと同様に、質問や応答の仕方にだって、それなりの方法があります。もちろん、演習や研究発表をまともに成立させることは、口頭発表に多くを負っていますが、質問や司会にも、かなりのウェイトがあることもまた事実です。 …

自説の主張を中心に(口頭発表の構築2)

これもまた、論文でもほぼ同じことなのですが、聴衆が「この人、いったい何が言いたいのだろう?」と思うような発表がけっこうあります。しかし、多くの場合それは不勉強とか準備不足ではなく、全く逆に、資料豊富(あるいは資料過多)で、ついでに発表時間…

口頭発表の構築

研究会や演習などで研究発表をする際に、どのようなことに留意したらよいでしょうか。「論文・レポートの書き方」については前に書きました。研究内容を考案する方法は、ほぼこれと同じです。問題は、「口頭発表」という形式としてしつらえる場合です。 1)…

Project M Annex 再開!

ここしばらく、異動と、それ以前の業務過剰のため、きちんとした更新ができませんでした。今後はできるだけ、初心に返り、日本近代文学・比較文学・表象文化論関係のトピックを公開してまいります。 これまでのエントリの中に、リンク切れとなったり、現状に…

発表要旨の書き方

研究発表の内容を考えるのもさることながら、発表内容を予告する発表要旨を書くのも、なかなか大変な仕事です。どのようなポイントがあるのでしょうか? 1)発表内容の分かるような題目をつける これはとても大事なことで、一般に何々論とか、何々の考察、…

発表時間の厳守

古くて新しい研究発表の鉄則、それは、「時間を守る」ことです! もちろん、多くの場合、聴衆は発表を待ち焦がれています。期待するからこそ、わざわざ足を運んでくれたのです。では、それに報いるためには、存分に時間を使い、持ち時間を過ぎてもなお、自説…

第2回日本比較文学会北海道大会のお知らせ

■日時 2009年3月28日(土) 13:00開会 ■会場 北海道大学W講義棟 W202号室 総合司会 梶谷 崇 ○ 開会の辞 13:00 北海道支部 支部長 安藤 厚 ○ 研究発表1 13:10~13:50 シナリオを書く小津安二郎 ―海外での翻訳・紹介の事例について― 早稲田大学大学院博士…

日本近代文学会北海道支部例会のお知らせ

○2009年 3月 21日(土) 午後 1時 ○北海道大学人文・社会科学総合教育研究棟(W棟)5階 W517講義室 〈研究発表〉 ・ 宮澤賢治の〈東〉の〈青〉さ ―「春と修羅 第三集」を中心に― 北海学園大学大学院生 吉村悠介氏 (午後1:00~1:50予定) 〈特集 桐野夏…

国際ワークショップ 「東南アジアとの通路」開催のお知らせ

主催:立命館大学国際言語文化研究所 共催:科学研究費補助金基盤研究(B)代表:中川成美、国際日本文化研究理論研究会、学内提案公募型研究プロジェクト「政策的重点研究」プログラム 国際ワークショップ 東南アジアとの通路 ─日本文学・文化研究理論を考…

様式史研究会第50回研究発表会・懇親会のお知らせ

下の記事に、懇親会のご案内を追加しました。「続きを読む」をクリックしてごらんください。 (昨年度と同じ会場です。)

様式史研究会第50回記念研究発表大会のご案内

早いものですね。恒例の様式史研究会(第50回記念研究発表大会)を下記の予定で開催します。 どなたでも参加できます。参加無料です。 お誘い合わせの上、ふるってご参加ください。 日時 2008年7月27日(日)13:00-17:00 会場 山形大学人文学部第1会議室(4…

様式史研究会第49回研究発表会・懇親会のお知らせ

下の記事に、懇親会のご案内を追加しました。「続きを読む」をクリックしてごらんください。

様式史研究会第49回研究発表会のご案内

恒例の様式史研究会(第49回研究発表会)を下記の予定で開催します。 どなたでも参加できます。参加無料です。 お誘い合わせの上、ふるってご参加ください。 お問い合わせはここにコメントを書き込むか、またはProject Mのメールアドレスまでどうぞ。 日時 2…

教養教育ワークショップ

平成19年度 山形大学教員研修会「第9回教養教育ワークショップ」 ・日時: 平成19年8月9日(木) ・場所: 山形大学教養教育棟 ・主催: 山形大学教育方法等改善委員会・高等教育研究企画センター ・日程 9:30 受付 10:00 開会 学長あいさつ 10:15 【第1…

テクストと場所

1週間後に川端文学研究会というある日、有島武郎研究会のシンポジウムをサボって、私は一人浅草に出かけました。当時はまた鬼のように学会・研究会にこまめに顔を出していたものです。川端の方で、『浅草紅団』を横光利一の『上海』と比較して、都市文芸の…

韓国日本近代文学会

2007年4月7日、韓国・ソウルの韓国外国語大学で開催された韓国日本近代文学会の春季大会にお招きをいただきました。この大会のテーマである村上春樹について、基調講演をしてほしいということでした。韓国でも、他の国々と同様に村上春樹は人気の高い作家で…

表象のパラドックス2

『意味という病』というのは、有名な柄谷行人氏の著作ですが、表象に常に意味があるという発想には、いまや単純に肯(うなず)くことはできません。 テクスト化、もしくは構造化は、一般には高度な、または高次元の意味を作り出す方法であると信じられてきま…

東京は人が多すぎる(『東京物語』2)

『東京物語』は、パラマウント社の映画で、レオ・マッケリー監督の『明日は来たらず』と関係が深いことが指摘されています。こちらは老夫婦が子どもたちの家で厄介者にされ、見ず知らずの他人に親切にされる話ですが、二つの映画が決定的に異なるのは、一方…

言葉の音楽(『東京物語』1)

小津安二郎監督の『東京物語』で、戦死した次男の嫁である紀子(原節子)のアパートに、義母・とみ(東山千栄子)が泊まるシーンがあります。長男も長女も悪気はないけれど、生活に余裕がなく、尾道から出て来た老父母を大事にしません。熱海の旅館でも休め…

書くことを忘れたあなたへ

「あなたには書くべきことがあり、あなたには書く能力がある。それなのに、なぜあなたは書かないのですか? 私の心のわだかまりは、いつもそのことに向けられています。書かない人に、無理に書かせることはできません。書くことほど、本質的に主体的な行為は…